まるでぬいぐるみ屋のよう
どれもこれも可愛すぎて
一つだけ選ぶなんて無理
それでもおこづかいで手が届く範囲に絞って
そっからひとつに決めて「それが欲しいんだ」と自分に言い聞かせるんだ
必死におこづかいを貯めて
時には売り切れたりしないかなと心配になって
時には割引とかになればいいのになって思って
とにかく君が欲しいんだ
とにかく君が欲しいんだ
とにかく今はそれだけなんだ
でも男子ひとりでぬいぐるみ屋など絶対入れる気がしない
君が欲しいのにかわりはないけど
ぬいぐるみ屋は遠くへ移転しちゃうよう
買わなきゃ あのぬいぐるみ
だけど僕ってほんと不甲斐ないな
いつまでもガラス越しに眺めてたんだ
通りすがりの人たちは不思議そうな目で見つめていたっけねえ
閉店当日やっとこさ勇気が湧いて
学校帰り駆け抜けた通りには雨が降ってた
びしょびしょになって制服から嫌な匂い
シャッターが降りていた
ともかく君が好きなんだ
ともかく君が好きなんだ
ともかく今はそれだけなんだ
だから写真を愛でるけど許してね
嘆いたってもう仕方ないものね
いつの間にか無主語の文になってた
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