2016年11月2日水曜日

I亅

今年初めて息が白くなった日
僕は柔らかな陽に手を伸ばした
霞んだ目をこすって
そのままポケットに突っ込んだ

それは何も特別なことなんかじゃなくて
当たり前に起こることなのに
何を勘違いしちゃったんだろう
笑えるよね

雲に覆われた空から雪が降るのはまだ少し、もう少し先のことだけれど
今も今度も「寒い」って僕は言うんだろう
セーターも着ないまま肩をそう震わすんだろう


今年初めて手がかじかんだ日
僕は柔らかな陽をじっと見つめていた
袖に引っ込めた手を出そうとするも
冷んやりしていて諦めた

それは何も自分がおかしいとかじゃなくて
当たり前に起こることなのに
何を勘違いしちゃったんだろう
笑えるよね

雪降る朝にあかぎれで痛むのはまだ少し、もう少し先のことだけれど
今も今度も「寒い」って僕は言うんだろう
手袋もはめないままその両手をこすりあわせるんだろう


気づいたら周りはみんな冬支度を済ませてしまった
冬将軍ももう街をふらついているらしい
あの陽から僕は遠のいていく
でも確実に近づいてるの

成り行きに抗って暖房をかけるのはまだ少し、いやもうかなり先のことだけれど
「あったかい」を言う今度が訪れるまでの辛抱だ
でもやせ我慢は必要ないよ
ほらスープをすすって
訳もなく動き回って
弱々しい灯火を
絶やさぬように
掴みとる前に

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