2017年3月30日木曜日

AI

「個性」も「障害」と名を変えりゃ見る目が反転してしまうのさ
「苦痛」も「闘争」と名を変えることが出来る人が羨ましい
「ピンチ」も「チャンス」と名を変えることが出来る人が羨ましい
「私」も「あの人」と名を変えることが出来るのなら
姿を変えることが出来るのなら…


不平等に作られたこの世界
捨てて得られる量もまちまちで
他人の成功談なんて
素直に受け入れられるほど各々の環境はパターン化されてない

そこに無理やり押し付けられた"平等"の2文字
何度か飛び出た僕の杭はそいつに叩き潰された

理不尽だと腹を立たせた
でも抗うほど馬鹿なことはないのも知っていた
そう言って突っ立ったままの自分がただただ惨めで
泣かざるを得ず泣いた少年期

「大人がやってるから正しいんだ」と
「"当たり前"は当たり前じゃないんだ」と
強引に解釈して嚥下した
そうでもしないと粉々になっちゃいそうで
ため息で抑えた

意志は、思考は、放棄された
個性なんてもうとっくの前に殺処分された
代わりに幾分かの銭と冷えきった弁当のような幸せを得た


人が作り統べてくこの世界
マジョリティーを基準に廻っていく
技術革新だって何だって
素直に受け入れられるほど人々は愚かでなくなってきたようだ

そこに突如として現れた"AI"の2文字
人が生み出したそいつは人までもがもて余して宿敵となった

"代えのきかない存在"が欲された
そう"個性的な存在"が求められた
競争に負け突っ立ったままの自分がただただ惨めで
泣かざるを得ず泣いた雇用氷河期

「社会が変わったからしょうがないんだ」と
「"真実"は不変じゃないんだ」と
強引に解釈して嚥下した
そうでもしないと粉々になっちゃいそうで
ため息で抑えた

私は、私は、放棄された
幸せなんてもうとっくの前に殺処分された
代わりに人類はより完璧で快適な暮らしを手にした


「個性がない」のが「個性」だとかつての少年は言い張るが
その「個性」はもはや「障害」と名を変えていた


「私」も「AI」と名を変えることが出来るのなら
姿を変えることが出来るのなら…

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