2019年10月5日土曜日

最期と晩餐 (アーカイブ)

"この動画ちょっとおもしろいな"

"このキャラクターすごく好きだな"

食卓に並んだ「いいこと」を

僕は味わわずに飲み込んだ


"また酷い過ち犯したな"

"どうしてこんな目に遭わなきゃなの"

部屋中に焚かれた「やなこと」に

蝕まれながら



「どうせ」「どうせ」って呟くたび

自分の喉元に向きかけるナイフに

「人生は失敗でした」なんて

語られたくなくて


「生きてりゃいいこともある」なんて言葉を

"自戒"の水で服用して

だけど訪れない「いいこと」に

また蝕まれて







ガラス越しに庭に見えた野良犬は

すぐに居なくなった

彼はどこへ向かったんだろうか

...ガス室かな


"彼よりは僕は幸せかな"

"これは「いいこと」なのかな...?"

"でも「だから生きよう」とは思えないな"

"僕は何を望んだ...?"



食卓が豪勢な晩餐に

変わってほしかった 「僕は変わらずに」

ただの甘えたお話でした

嘲笑わないで


変わればいいだけのはなし

過程と結果はたまに食い違うが

まずは過程が大切だから

「失敗」はまだ宣言しないで



欲しい






死んだらもう二度と生きられないから



悔いは残さず食べきって欲しい

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